オーケープレスの強み

Strong Points

変化と成長を続ける
プレス加工事業者だけが、
生き残る。

有限会社オーケープレス

代表取締役 太田賢吾

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私は父親から事業を受け継いで、2017年からオーケープレスの代表取締役を務めています。それまでは他の企業で20年以上、購買や営業、海外支援などの業務に携わってきました。ですから、お客様が本当に望まれることや懸念されることを、いわば肌感覚で知っています。その経験をベースに、常にお客様の視点でオーケープレスという会社を客観的に眺め、お客様第一の経営を心がけています。
ビジネス環境が大きく変化する潮流のなかで、満たすべきお客様の要求事項もまた変わってきました。メーカーのバイヤーは、コストメリットだけでなく、「工程能力」や「供給責任の遂行」を非常に重視するようになっています。そこで選ばれるプレス加工事業者でありたいと、私たちは願っています。そして、新しい時代に対応した経営方針や遂行能力、事業継続戦略を持ちつつ、自社のポリシーをしっかりと世の中に伝えていきたいと考えています。

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「他のプレス加工事業者といかにして差別化をはかるか」という点は、いつも意識しています。オーケープレスではすべての作業をデータ化し、「長年の経験とカン」への依存から脱却した仕事を実践しています。
その一例が、「テストピースのゼロ化」です。プレス加工業界では、「何個か打ってみて寸法を出す」という慣習が、疑われることもなく続けられてきました。しかしシンプルに考えれば、テストピースには無駄な要素しかありません。材料費や工程のロスだけでなく、もし不良品が流出でもしたら、不要な選別作業が生じるうえに、お客様の信頼を失ってしまいます。テストピースの工程の廃止が実現できたのも、業務の数値化・仕組み化によって、ひとつ目から良品を作る体制を構築していたからです。

また、オーケープレスが強みを発揮している分野のひとつが、単発多工程プレスです。工程管理の難易度も当然上がりますが、オーケープレスは最長8工程まで対応できます。それを実現する設備の充実にも注力しており、同程度の規模のプレス加工事業者との比較では、群を抜いた水準ではないかと考えています。他社が積極的に踏み込もうとしない領域での存在感を高めるため、2021年には300トンのサーボプレスを導入し、特殊材や変則モーションへの対応能力をより向上させました。今後も、数年で現在の業務体制が様変わりするくらいに、設備投資に注力していくつもりです。

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もちろん、設備や仕組みを整えるだけでなく、それを血の通ったものにするスタッフの教育訓練や業務レベルの向上にも気を配っています。
私は日頃から社員に対して、「いま自分がしている作業や言動は、本当にお客様に褒めていただけるものか? 〈この人に仕事を任せたい〉と思っていただける水準に達しているか?」という問いかけを繰り返しています。自分の物差しでなく、あくまでお客様の物差しで業務に取り組むという意識や姿勢が、品質や原価につながってくるのです。
私自身、数多くの会社を訪問してきたなかで、「自分がお願いする部品は、この方に打っていただこう。きっと責任を果たしてくれるだろう」と確信できる人に出会うことがありました。プレスを打つ後ろ姿から、工程を深く理解している気配が伝わってきましたし、いうなれば「匠(たくみ)」のオーラが漂っていました。その実感があるからこそ、私も社員に確信をもって呼びかけることができるのです。

現場での業務改善は、地道な努力の積み重ねです。たとえば、工場での動線が一歩でも短くなるよう普段から意識づけしたり、業務に使用するペンをキャップペンからノック式マジックペンに変更して、無駄な手の動きやフタ混入のミスなどをなくしたりしています。また部品の検査は、快適な作業用チェアに座った状態で行っています。立ち通しの作業姿勢で集中力を欠いては、意味がありませんからね。いずれもきわめて細かい改善のようですが、生産効率を高めるのは、結局はこれらの蓄積だと考えています。
こうした工夫の意図をスタッフも理解し、各々が実践を始めてくれている手応えがあります。仕事がしやすい環境を整えるため、女性スタッフが朝早くに出社して備品の掃除を始めたところ、やがて男性スタッフも同刻から通路のモップがけを行うようになりました。いずれも自発的な取り組みで、そうした姿勢を見せてくれるのがうれしいですね。オーケープレスはまだまだ成長途上の組織ではありますが、このようなスタッフの意欲と努力、そして成果に対して、しっかり還元できる企業でありたいと思っています。

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私の口癖は「ただ上から下に落ちるのがプレスではない」というものです。金型で挟み、加工機で圧力を加えるという一見シンプルな工程のなかに、無数の工夫やチャレンジの余地があることに気づき、実行できるか。これがポイントだと思います。
社員にはいつも、「現状維持は退化だよ」と、説き続けています。技術の進化や世の中のトレンドに応じて、部品も設備も様変わりしていきます。従来の慣習にとらわれて思考停止していては、進化の道は永久に見えてきません。それを見抜き、変化と成長を続けるプレス加工事業者だけが、今後も生き残ると確信しています。